一輪の風

「それじゃまたね」って
あの人は笑ってた
照れた手の平と
白い歯の笑顔

「他人のことよりも
自分の心配を」
言われたことがある
本当によく言うよ

あの人は
飛んで行った
一輪の
風になって

仲がよかった
友達は泣いていた
文筆家友人は
詩に書いて残した

薄情な僕にも
出来ることがあるなら
時々こうやって
思い出してみるよ

あの人は
飛んで行った
一輪の
風になって

あの人は
飛んで行った
血と汗と涙を
白で包み